アウトサイダー出ようと思ったきっかけ
アウトサイダーというのは格闘技が割りと好きな素人の僕でも名前は知っていた。
一番最初に名前を聞いたのは2008年に開催された素人格闘技大会という名のものだった
(このときも瓜田さんが出ていた)
当時2ちゃんのコテ(固定ハンドルの意味)桃丸という高校生の少年が出てきた。
2008年と言えばネットで悪ふざけをするノリが多いため大会は素人もしくは自称喧嘩無敗と言った面白い人物が出てくるんじゃないかと盛り上がっていた。
ところがコンセプトとは裏腹に出てきた選手はみんな大なり小なり格闘技を齧っていたというお寒い結果で終わったものだった。
まわりがネタでやっていたらそこにガチ勢が入ってきて想定していたものとは違うただのセミプロが勝つというのはかつてフードファイターでもよく見た世界だった。
(小林尊というフードファイターがアメリカのホットドック早食い大会で優勝したとき)
ただこのときの桃丸(成り上がりマン)が発言した台詞で面白かったのは
>12 成り上がりマンX ◆jekNVvOIxk 2008/03/13(木) 22:17:55 id:Ciu24/Ff0
>正直瓜田さん以外に勝てる気がしない・・・
>全然不良の大会じゃないじゃんこれ・・・
>
>けど、やるしかないな
今回瓜田チャレンジに応募して対戦相手が決まったときも同じ内容を僕も思った。
みんな瓜田さん以外ガチやんけ!
正直体重も落ちないし、勝手に顔の写真を使ってきてたし非常に降りたかった。
(写真を勝手に使う理由は不良たちの更正のためであるというが、何故不良の更正に選手の顔写真が必要なのか不明。というか消してほしい)
ただ運営に聞いても、当日判断となりますが落とせるだけ着てください。大丈夫ですとしか言われなかった。今回みたいに試合がないと分かっていたら降りていたと思う。
そんなわけで結構見切り発車で物事を進めていくことになった。
だがまず最初の難点があった。
何かというと大会に出るに当たってセコンド2名が必要だったのだ。
正直、これまでフリーで格闘技に出たことはなかった。
大体ジムで応募して誰かの試合について応募なので勝手にトレーナーがついて着てくれた。
だが今回セコンドが必要と聞き、
1人目はTwitterで長年の知り合いがいて話してみたら「面白そうっすね。受けます」と二つ返事で受けてもらえた。
だが2人目で難航した。
普通格闘技のセコンドというのは中々する機会がない。しかし当たり前だが誰だって良いわけではない。セコンドは試合で熱くなりがちな選手にアドバイスを与える大事な役割だ。
格闘技に対しある程度以上の造詣が求められる。
普通は格闘技の知り合いに頼るものだが今回はアウトサイダーだ。発足して10年近くたつがアウトサイダーや地下と呼ばれる格闘技に対して様々な価値観を持っているのは何となく肌で感じる。
地下の格闘技と言えば表舞台に立てないプロもしくは半ぐれの集まり。そんな価値観を持っている人が多いのも分からなくはなかった。格闘技に真面目に取り組んでいる人ほどそういう価値観を持っている人が多い気はした。
最初、餅は餅屋ということで通っていたジムに相談することにした。今考えるとこれが一つ目のの誤算だった気がする。
仕事終わりにキックボクシングのジムの会長に聞いた。
まず「フリーで大会出ようと応募したら受かったんですけど」
そう言うと会長はいきなり怒り始めた。「お前ふざけんなよ」話をした会長の顔に血管が集まっていくのが分かる。
若いころは不良だったのだろう。昔中学生のとききれやすいで有名だった不良もこんなきれかたをしていたのを思い出す。
「あのな君。フリーで試合に出るってどれだけ失礼か分かる?会社員で言うと会社に黙って仕事受け取るようなもんだぞ!ふざけるのもいい加減にしろよ!」
そう怒鳴られた。
ここも格闘技と本人の格闘技に対するスタンスの違いも大きいと思うが経験上、キックボクシングの人はこの手のことに敏感な気がした。空手やほかの格闘技はあまりどこの試合に出るとかは無関心だったことが多い。
やっべえな。トラの尾を踏んでしまったかなと曖昧なアルカイク・スマイル
(※アルカイックスマイル参照)
でしばらく誤魔化していたら向こうの態度も軟化した。
「まあ今回のことは仕方ないけど、うちのジムの名前で出て今後勝手なことしないってならいいよ。ちなみに大会名は何?」
そこで僕は申し訳なさそうに「アウトサイダーです」と言った瞬間会長は文字通り手を天に仰いだ。
「お前……よりにもよってよりにもよってそれか……うちはそれ系の団体とは一切かかわりを持ちたくないから無理。出たいなら勝手にしろ!」
アウトサイダーが発足して10年近くたつけど未だに格闘技業界の人の評価はこういうものだった。ここでも正直2つ目の誤算だった。
ただ会長からそれでお前誰と戦うのと聞かれて瓜田純士ですと答えたら
何でか会長は知っていた。
「瓜田?聞いたことあるぞ。確か父親がブラックエンペラーの総長だったやつだよな?後ムエタイの試合でも見たことある。チャンデー・ソーパランタレーにぶっ飛ばされてたな」
思ったより詳しくて少しびっくりした。 ただその後で「とにかくうちのジムはノータッチだからな」それを何度も言われたのを覚えている。
困ったなどうしたもんかなと思っていたら、たまにうちのジムに出稽古に来る空手の選手がいた。
その人は見た目もごつく実力もある選手だった。しかもアウトサイダーの名前を聞いてもそんなに抵抗がなかった。その上瓜田さんのことを知っていた。
「分かりました。その日は稽古がありますけどセコンドします」
そう聞いて安心したのだが出るかでないか迷ってしばらくした後にLINEで聞いてみたら
「すいません。やっぱり空手の稽古優先したいのでやめます(。-人-。) 」
見た目はごつかったが顔文字は可愛かった。たまに練習で熱くなると結構強く蹴ってきたりするが、きっと性格は良い人なのだろう。
普段のジムの練習だけではわからない一面だった。
いやそんなことはどうでもいいけどどうしよう。そう悩んでいたら2chのオフでたまに一緒に格闘技の練習をしていた元ヤクザの方がいたので素直に相談した。
「瓜田純士って知ってますか?」
「あーまあ新宿あたりでいろいろしてた方なのは知ってますが、それがどうかしましたか?」
「実は今回瓜田チャレンジという企画に応募したら彼と試合をする権利を得たらしくて…良かったらセコンドをお願いしたいのですが可能でしょうか」
そう聞くと最初はこの元ヤクザの方も反応が微妙だった。どういう認識か分からないがアウトサイダーについてあまり良いイメージを持っていなかったのだろう。
だが、現在セコンドがいないこと格闘技に関して知識を持っていること。
またこれも大事なのだが僕と実際に手合わせをしていたことがあるため僕の実力を把握していること上記の条件が当てはまるのは他にこの元ヤクザの人しかいなかったため熱心に頼み込んだ。
するとしばらく日にちが空いてから回答がきた。
「分かりました。嫁には反対されますが今回セコンドを受けます」
持つべきものは友だった。しかも瓜田さんのことを知っていたのも大きかった。
(体感的に瓜田さんのことを知っていたのは30半ばくらいで若い人はほとんど知らなかった)
とりあえずセコンドについては確保できた。
だが、正直この時点でもあまり乗り気ではなかったのは確かだった。
何故か。また格闘技をしていた別の知り合いに対して「アウトサイダーに出るのってどうっすか?」と聞いたところ
「あのな。君!やめとけ。あんなんAVに出るようなもんやぞ!AV出てうんこ食わされるようなもん!絶対やめとけ」
そう言われたからだ。
流石にAV出たくないな。でも賞金の10万円はほしいし、そう悩んでいたらたまたま
ヤリマンの知り合いがいたから相談した。
これこれこういう事情で出るかもしれないけどどう思う?そう聞くと
「う~ん。良く分かんないけどリングでウンコは食わされないだろうから出てもいいんじゃね?」
ヤリマンの言葉はいつでもシンプルだった。
まあ確かにうんこは食わされないならいっか。一抹どころか100抹ほど不安はあったが、取りあえず出る決意をした。